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物語 韓国人


著者 : 田中 明
文春新書 188
株式会社 文藝春秋 東京 2001
定価 680円+税










 韓国の人々にとっては面白くない指摘が続くが許していただきたい。私が紹介する韓国関連本は、いわゆるヘイトスピーチのような感情的なものではなく、それなりの研究者が文献をあさり、事実を集めて論考したものである。

 さて、この本もずいぶん前に買って読んだものだが、やはり問題意識が漠然としていたのでは思い出も少ない。しばしばでもないかも知れないが、「韓国発祥」「韓国一番」というようなことを聞いたことがあると思う。たとえば、私が聞いたことがあるのは、「わっしょい」というかけ声は韓国語が語源である、韓国語は世界で最も優れた言語である、とかいうことを聞いたことがある。

 私にとっては、韓国発祥であっても、最も優れていても一向に構わない。私は言語学者ではないし、それが事実かどうかも分からない。ただ、そんな話を聞く時、何か韓国の方が日本よりも上である、というような響きを感じる。事実であるかどうかよりも、そこが鬱陶しい。なぜそうななるのか、その背景的要因を知りたくなった。

 「衛正斥邪」(孔盂程朱の正道を衛(まも)り、邪教を奉ずる侵略者を斥ける)派に関して田中は次のように言っている。
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 変わらぬ心理的対応策
 丙五胡乱から二百八十年後、朝鮮は日本に併呑されるという第二の屈辱的な目に遭った。この二番目の敗北のさいに、李朝の指導層の取った態度は、胡乱後のときと全く変わらなかった。危機を目前にしての対抗手段は<我は文化的優越者であり、彼は劣等者である>という"確信"だけだった。
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 優越意識と裏腹な自信のなさ
 しかし、こうした文化的優越意識というものが、真底、衛正斥邪派の人たちに確信されていたのかというと、それは少々疑問である。
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 もちろん、その他のこともいろいろ書いているが、上述の優越意識、朝鮮人の争党の激しさ、そのもととなっている「朱子学」について解説されている。朱子学について司馬遼太郎の文を引用している箇所があった。それは次回紹介する。


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